ハーブの保存について

パントリーの虫:存在する理由と農法、間違った知識、対処方法、保存方法

虫の卵は、栽培中に、あるいは袋詰の後袋に穴を開けて産み付けることがあります。ハーブに限らず、有機栽培や自然農法の食物は、決して成虫や虫の卵を完全排除ができません。小さな卵は見えませんが、食べても無害です。しかし、餌(ハーブや食物)を不十分な状態で放置しておくと、やがて卵が孵化し、幼虫が餌を食べてしまいます。食物が密閉容器に入っていない場合、深刻な問題が発生します。孵化した虫は包装袋から簡単に逃げ出し、食料庫内の他のすべての食品に寄生します。しかし、ハーブを調理、加熱、冷凍することで目に見えない卵を死滅させたり、孵化させない方法はあります。
ハーブティーを飲む時は、濾して飲みますので卵を飲み込むことは滅多にありません。

ドイツのトリーア大学の研究者らが行った新しい研究では、1000種以上の昆虫のDNAがスーパーなど、一般販売されているお茶、ハーブを含む商品から見つかりました。彼らの研究は査読付き科学雑誌『Biology Letters』に掲載されました。

虫の卵が存在する理由

虫の卵は人間の目で見ることはできません。
虫が卵を産み付けない農作物は、この世に1つもありません。
また、虫は袋に穴を開けて卵を産み付けます。当店でお客様にお渡しする袋は密閉されていません。

間違った知識:
有機栽培であれば、虫の卵はないだろう。→ (正) 農薬殺虫剤を使用した農法のほうが、卵の虫は少ない。
ハーブにどうして虫の卵が… → (正) お米にも虫の卵はあります。農薬殺虫剤で卵を死滅させているため、お米の虫に遭遇することが少なくなりました。
などなど。

以下の農法は、ハーブだけではなく、野菜などすべての農作物同様です。

■ バイオダイナミック有機:

人工殺虫剤は未使用。カモミールなどのハーブによる殺虫剤。手による害虫駆除はするが、それは、目に見える成虫を取り除くこと。

メリット
ハーブ内の有効成分が多く鮮度がある。
デメリット
虫の卵は完全には死滅できない。どちらかというと、一般有機より多い。

■ 有機農法:

各国各有機協会認定の人工殺虫剤を使用。

デメリット
虫の卵は完全には死滅できないが、バイオダイナミック有機よりは卵の量は若干減少する。

■ 有機ではない通常の農法:

農薬殺虫剤使用。

メリット
虫の卵はほとんど死滅。
デメリット
農薬が多く付着していて人間の体には悪影響がある。

虫が卵を産み付ける食品

虫が卵を産み付ける食品は、ハーブだけではありません。

ハーブやスパイス
小麦粉、コーンミール、ケーキミックス
米と全粒穀物
豆類
朝食用シリアル
パスタ
クッキーとクラッカー
スパイスとハーブ
ドライフルーツ
チョコレート
ナッツ
お茶
粉ミルク
ペットフード
タバコ

なぜ、目に見えない卵が孵化するのか

環境悪により卵が死滅せずに、孵化してしまう。

卵にとって環境がよいと孵化する、ということです。つまり、高温多湿、明るい、酸素があるなど。

目に見えない卵でも食べてしまってもよいのか

はい。
人間は、すでに上記の食品を日常的に摂取していますが、虫の見えない卵も一緒に食べてしまっています。ただ、ハーブティーは濾して飲みますので直接卵を食することはありません。

卵を孵化させない方法

卵にとって孵化しない悪い環境にすることです。つまり、目に見えない卵が孵化してしまうのは、保存場所が環境悪であり、虫の卵にとっては最適な環境なのです。

これには、冷凍と熱を加える2つの方法があります。

■ 真空パックにできるハーブ(葉類)

酸素がない環境(真空パック)を、冷凍庫で3日保管。その後自然解凍。

■ ハーブによっては真空パックが完全にできないもの(茎、尖った葉、花や蕾など)

A:グリル
1.電子レンジを60度に加熱する。
2.ハーブを天板に並べる。
3.オーブンで15分間焼く。
4.冷ましてから保管。

B:電子レンジ
1.電子レンジの500 ワットで 28秒間。

デメリット
有効成分や香りが熱により飛んでしまうため、事実上、不可。
完全には死滅しない場合がある。

そのため、真空パックが不可能な部類のハーブは、対応がほとんどないため、以下の方法で保存する。いずれか1つではなく、1から5までを行う。

1.酸素がない環境(真空パック)にする。
2.不透明のケース(プラの衣装ケースなど)に真空パックしたハーブの袋を入れる。
3.部屋は、南や太陽の光が当たる場所以外の、北側。
4.窓は、当然、24時間、遮光遮熱のレースとカーテンで閉め切る。
5.部屋内の温度と湿度はエアコンや除湿機などで調整する。

卵を死滅させる方法

栽培中に農薬殺虫剤で多くを死滅させる。

バイオダイナミック有機は、農薬も殺虫剤も完全に不使用のため、卵を完全に死滅させることはできません。

虫の卵に悩みたくない

有機ではないハーブを使用する。
ハーブ素材ではない、ハーブチンキ、ハーブオイルなどへ販売品を変更する。など
ティーバッグハーブティーに変更する。ただし、当店でティーバックは取り扱っておりません。ハーブを細かく粉砕することにより、香りや有効成分が即座に失われ、人工香り付けが必要になるから、です。ただ、粉砕することで、虫の卵が砕かれるため、死滅しますが、まれに残ります。
フルーツティーを飲む。

当店のスタッフの家での保管

この方法で虫がわいたことはありません。
0.購入後、最初の冷凍庫保管は3日程度 +
1.脱気した袋で人気(ひとけ)のない北の部屋 +
2.遮光性遮熱性のレースとカーテンを常に引いておく +
3.ハーブの袋は、プラスティックのケース(衣装ケースのようなもの)に、入れてケースの蓋をしっかりと閉めて保管。

0の冷凍庫保管
冷凍庫保管せずに、1,2,3だけでも虫の卵は孵化しませんが、卵死滅させるには、冷凍庫保管が必要です。
ただ、ローズなどの花びらは冷凍庫保存に不向きのため、脱気袋で人気、熱、明かりの届かない部屋での保管をしています。

ブレンドハーブティーは、ハーブの花や根などが混在していますので、当店スタッフの自宅実験によると、1,2,3で保管しても、卵は孵化されません。
また、飲む時は、ハーブを濾して飲むので卵を飲み込むことはありません。

2の部屋の状況:明かりをつけるのは1日数分程度。
窓を開けるのは掃除のときのみ1日1回程度。窓を開けると虫が入る可能性があるためで、さらにプラケースに入れて蓋をしっかりととじている。

おすすめしない保存

明るい部屋。南東西の部屋、人気(ひとけ)のある場所など。
台所やリビングなどの熱が伝わる部屋。
湿度が40度以上。
北の部屋でも人気(ひとけ)がある場合。
瓶への詰替。スパイスなど2,3g程度で使用する場合を除く。(酸化、変色、変質しやすい)
窓がある部屋。
袋のままで袋をさらに密閉していない。(虫が袋に穴をあけて卵を産み付ける)

おすすめの保存

遮光性カーテンやレースで光を遮断している部屋。(薄暗いところ。ひんやりと涼しいところ。)
北のひとけのない部屋。
脱気シーラーで空気を抜いた袋に詰め替え。
冷凍庫(最初に3-5日保管後に上記の環境の部屋に移す)。
詰め替えた袋を密閉式プラ容器の蓋をしっかり閉めて保存。

・脱気について
脱気は枝や実など固いハーブで穴があく場合もありますので、手動で完全の手前で止めるなど加減する工夫も必要です。

・冷凍庫保存
虫の卵は通常、平均で3日程度で多くが死滅するようですが、冷凍庫の温度なども関係するかもしれません。

・脱気せずに冷凍庫冷蔵庫保管すると
袋内に結露がつき、室内の室温に戻しますと、ハーブが黒くなってしまいますのでご注意ください。

まとめ

体によい有機栽培のハーブを摂取するか、卵が産み付けられない農薬がついたハーブにするかは、それを取り扱う人によります。

一般のスーパーの野菜は、虫の卵のクレームを受ける対応が大変なため、スーパーも農家も、多くが有機ではない農作物を栽培、販売しています。
ですから、虫に悩みたくない場合は、有機ではないハーブにするとよいです。有機栽培の農作物とは、そういうもの、なのです。有機栽培だから、虫の害はない、という考えや知識は不正解です。

当店からお客様にお届けする際は、卵はまだ目にみえない小ささです。虫がすぐに湧いてしまうか、どうか、は、お客様の保存方法、保存場所などの環境により異なります。また、孵化するまでの期間は、ハーブのロット(天候や土壌など同じ農場でも収穫単位で異なる)によるものであり、同じ農場の翌収穫時とは異なる場合があります。

卵を付加させない方法は、卵の死滅は完全ではありません。

しかし、ハーブ農場で、ハーブメーカーで、当店で、そして、お客様が、上記の「卵を孵化させない方法」で二重、三重、四重の駆除を行えば、エンドユーザ様は安心してハーブに接することができるでしょう。

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